2005年比15%=産業派、1990年比25%減=環境派(金融派)、というのが多くのマスコミの見方のようだ。
これは、ごく自然に「CO2を減らすこと=良いこと」という発想が根本にあるかもしれない。
ただ、2005年比15%の実現もかなり難しい。1990年比25%減は、これから10年で30%減らすことを意味するから、まず実現は無理だ。
温暖化の被害やリスクを重視する人は、無理、という言葉を聞いただけで産業界の言い訳と見るかもしれない。だが問題は、国民vs国民である。
つまり、国民の生活を無視したら、1990年比25%減でも可能だが、国民の生活を無視するのは無理だから、90年比25%減も無理だと、いち早く気づく必要がある。
□現在の民主党
90年比25%減=可能、だと信じている
□数年後の与党
90年比25%減=国民の生活が損なわれる、に気づく
国民の生活が第一=90年比25%減はあきらめる、を表明
というのがもっとも可能性の高い(また被害の少ない)シナリオである。
では、90年比25%減(今後10年で30%減)を仮に目指す場合、どのような政策が必要か見てみると次のようになる。
A.家庭・小口業務・運輸
・電気料金2倍(家庭は40円/kWh)
・ガソリン、軽油の料金2倍(税額を現状の3倍へ)
→ガソリン、軽油が250円/Lになれば高速無料でも良い
・灯油の料金2倍(50円/Lの税額上乗せ)
・都市ガス、LPGの料金2倍
B.産業・大口業務
・大口産業は生産抑制、大口業務は床面積抑制を前提としたキャップ割当+排出権取引 (生産量、床面積は現状の2/3へ)
・キャップ割当が煩雑となる中小企業へは、炭素税(石炭、重油へ、4000円/tCO2程度かける)
・炭素税がいやなら、キャップを受ける
・セメント業は、廃棄物の適正処理といった社会的便益もあるため、混合セメントは3000円/t補助、普通セメントは1000円/t課税
C.低所得者・弱者・離島保護政策
・以上の政策で、光熱費や食料を含めあらゆる物価が上昇し、雇用も減少するため、ベーシックインカム(負の所得税)を日本在住者へ無条件で実施(一人当たり月5万円程度)
民主党はBだけで90年比25%減ができると見ているようだが、現状認識が甘すぎる。仮に90年比25%減を目指すなら、上記のA、B、C全てを組み合わせる必要がある。それが損害を最小限に食い止めつつ25%の量をかせぐために必要である。
従って、国民の生活が第一なら民主党は素直に90年比25%は無理であると方針転換すべきである。そして、イメージの中でCO2は簡単に減らせる、CO2削減は単に良いことだと信じていた、つまり勉強が足りなかったと正直に告白すべきである。これは別に恥ずかしいことではない。
特にBの生産抑制、床面積抑制を前提としたキャップ割当は、産業や経済産業省の権益を破壊するために仕掛けたくなる「戦術」かもしれない。ただ、国民の雇用、国の税収、日本の数少ない国際競争力のある分野も同時に破壊することにつながる。これは、まさに国民の生活を破壊することである。
民主党、特に鳩山首相、岡田外相、福山氏には、このあたりの相互作用と量的感覚を把握し、真に国民の生活を考慮した政策へ転換して欲しい。
2005年比15%であっても、十分達成が難しい目標である、と。


by junichi2048
「90年比25%減」は勉強不足で…